003 勢いだけで、抜き足差し足忍び足
2004年9月24日(の終列車)をもって、一本のプラットホームが廃止された。
阪神電車・春日野道駅
上下線にはさまれた、幅2.6メートルという日本一狭い島式ホーム。
様々なメディアで度々紹介されてきた。
使い慣れた地元の方々の中からも、列車待ちが怖いという声が絶えなかったと聞く。
新しいホームは、上下線をはさむ対向式ホーム。
減速しながらも体のすぐそばを通過する列車におびえることも、もう無いだろう。
今回は9月23日に立ち寄りこっそりと、その姿をカメラにおさめてきた。
大阪梅田寄りにある・唯一の改札口。
おとな3人並べばいっぱいの、改札からホームへ下りる階段。
ホームの先端がこの狭さであったり、階段脇などが部分的にここよりも狭い駅はいくらでもある。
しかし「ホーム全体がこの幅」というのは、危険な印象を強く受けた。
利用客側も電鉄側も緊張を絶やさないためか、このホームでの事故が起きたことは幸い無いそうだ
この時でこそ新ホームが出来ているので、このような警戒表示(別のところから音も併せ出る)がある。
が、もともとはトンネルの壁面。圧迫感と、壁面に響く走行音は、閉所恐怖の方には堪らなかっただろうと感じた。
吊り下げ式の駅名標。もっとも、ファインダーをのぞきながらは撮れない。
「この辺かな?」デジカメを持った手を伸ばしてパチリ。
ひしゃげているがこんな画像に至るまでも何度か撮りなおした。
新ホームに置かれている仮設の駅名標。旧ホームから見られたのは、当然9月24日まで。
列車の通過・侵入がホーム片側だけなら「反対側歩いてれば何てこと無い」が……。
通過・侵入が同時になると本気でドキドキする。
不慣れだと生きた心地がしない方もいるだろう
申し訳なさそうに柱に寄り添って見える消火栓。
喫煙者にとって、落ち着いて吸える環境でも無いかと。
出番が無いのが幸いな装置もひっそり。
「柱一本あたり鉄ヲタ一匹」(ヲタ同士譲り合う撮影現場は初見)
神戸三宮方のホームの端に列車の爆音が響く。
列車が着くとホッとする駅は初めてだった。「ああ、これで脱出できる……」
(2022-05-04改訂)
(2004-09-24掲載開始)